writer : techinsight

携帯ゲームで地域活性化? 老舗ブランドと位置ゲームの融合に注目高まる

地方都市、観光地の再興に一役買うか。携帯電話の位置情報を利用したゲーム、いわゆる「位置ゲー」が地域活性化の起爆剤になるとして今、注目を集めている。「位置ゲー」のパイオニアである株式会社コロプラが、新たな来店・販売促進サービスの提供を始めた。

株式会社コロプラが運営する携帯位置情報ゲーム「コロニーな生活☆PLUS(通称:コロプラ)」は、携帯電話のGPSや基地局による位置情報を活用した位置連動型の携帯ゲームだ。20代から40代の社会人を中心に人気を集め、全国で20万人以上が利用しているという。

ユーザーは、移動して位置情報を送信することで移動距離分のゲーム内通貨を稼ぐことができ、得た通貨で自分自身のコロニー(=町のようなもの)を育てることができる。ゲームにおいて「移動」が大きな要素を占める点で、ビジネスマンやシニア層をターゲットとしており、出張の多い人や、全国を旅行し名所を見学したり食べ歩きをしたり、といった趣味を持つ人のニーズを満たすゲームとなっているのが特長だ。

そして、その特性を裏返せば、全国の観光地や地域特産品を販売する老舗が集客したいと考える層と「コロプラ」のユーザーが重複するということになるのだ。

「コロプラ」では今年3月からおよそ2ヶ月間にわたり、日光甚五郎煎餅を製造販売する石田屋と共同で、ユーザーに人気のゲーム内バーチャルお土産アイテムを使った実験的取り組みを実施した。この取り組みでは、日光東照宮近隣の石田屋本店の半径1km以内の場所へ出向かないとお土産アイテム「日光甚五郎煎餅」を取得できないという設定にしたため、このバーチャルお土産アイテムを求めて全国のユーザーが日光を訪れ、石田屋本店へ来店・購入したコロプラユーザー数は、6月4日時点で1000名を超えたという。ゲームとの連携により、主に口コミによって石田屋本店への来客が増加したのだ。

こうした成果を踏まえて、「コロプラ」では今月8日より、石田屋のほか、佐賀・有田町の有限会社しん窯、神奈川・伊勢原市の株式会社茶加藤、石川・能美市の株式会社宮本酒造店など地域特産品の老舗と提携して、新たな来店・販売促進サービスの提供を始めた。

これは、各社の商品に合わせて、ゲーム内特別アイテム「スポンサーお土産」とお土産カード「コロカ」をそれぞれ用意するもの。ユーザーがゲーム内で特定のスポンサーお土産を取得するためには、実際に各社指定の店舗を訪問して所定の金額の買い物をし、商品がデザインされた専用のプラスチックカード「コロカ」を店頭で受け取る、という仕掛けになっている。

このゲーム内特別アイテムという“バーチャル”と、「コロカ」と人の移動という“リアル”を上手く組み合わせることで、ユーザーによる来店・購入促進につなげていきたいとしている。また、コロカは訪問の記念としてユーザーの手元に残るため、各社の商品やブランドを永続的に訴求するのに役立つことが期待される。

今回のゲーム連動の来店促進サービスを利用するのは、日光の菓子メーカー石田屋、有田焼のしん窯青花、神奈川県の茶商茶加藤、加賀の蔵元宮本酒造店と、いずれも創業100年以上を誇る、地元では有名な老舗だ。

位置ゲームにより、日本各地の魅力を再発見できるかもしれない。店舗情報などの詳細は株式会社コロプラのホームページで公開されている。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)