writer : techinsight

食のプロが描く、料理シーンの“シズル感”『eatrip (イートリップ)』

(c)2009スタイルジャム

フードディレクターとして活躍中の野村友里の映画初監督作となるドキュメンタリー 『eatrip(イートリップ)』。多くの女性が大好きなオシャレで健康的な“食”をテーマにしたエッセイ風の作品だ。あたたかい湯気が立ち、おいしい匂いが漂ってきそうなお料理がいっぱいの映像は、まさに人と食を巡る、「映画のかたちをした、ごはん。」食のプロが描く、料理シーンの“シズル感”が必見!。さあ、召し上がれ。

テレビでは高級食材を使ったグルメ情報が溢れ、それを見ている食卓にはコンビニ弁当が並び、ダイエット食品や、サプリメントが飛ぶように売れる、問題の多い現代日本の食事情。そんな日本において、本来の“食”を貫いている人たちを追った映画である。

沖縄の大自然の中で自給自足の生活を営む主婦をはじめ、茶道の家元から魚河岸の鮮魚の仲買人まで“食”にかかわる人々の豊かな日常をスケッチ。人と食の関係を映し出したユニークな視点が評価され、eatrip 『eatrip(イートリップ)』。はモントリオール国際映画祭「ドキュメンタリー・オブ・ザ・ワールド」に正式出品が決定した。

(c)2009スタイルジャム

ロハスやエコロジーに関心のある人向けの映画である事は間違いないのであるが、本来この映画を見る必要性のある人は、仕事に追われ、日々ストレスを溜め、食生活がおろそかになちがちな人ではないかと思う。

『eatrip(イートリップ)』に登場する食に繋がりのある人々や、スクリーンを彩る俳優・浅野忠信や歌手のUA、内田也哉子など、時代をリードし、次世代の若者たちにカリスマ視を受けているある種のセレブたちと同じ食生活をするというのは、一般人にとっては少々難しい。しかし彼らの精力的な活躍や芸術的センスは日々口に入る“食物あってこそ”生まれる。今の自分より、“一歩上”を目指す人にとっては必見の映画である。原点に立ち返って「人間をつくる食べ物」に目を向けてみるのはいい事だ。

(c)2009スタイルジャム

食のプロが描く、料理シーンの“シズル感”が必見!と言ってしまったが、「シズル感」とはもともとは広告業界の業界用語で、様々な演出を凝らし、写真や映像の食べ物をおいしそうに見せた様子を言う。しかし、映画『eatrip(イートリップ)』のシズル感は、下手な細工はナシ。本来おいしいものを「ありのまま」に写している。肉がジュージューと焼けて肉汁がしたたり落ちているような状態をいう、本来の「シズル(sizzel)」という英語がピッタリの、見る人の食欲をそそるような映像が満載。思わずグーグーお腹が鳴ってしまう。

そして、太陽をいっぱいに浴びた食材が思いのままに調理され、子供たちのうれしそうな「いただきまーす。」の笑顔が映し出されるスクリーンには、本来の家庭で食べる食事がいかに大切かをうたっているのだ。

映画『eatrip(イートリップ)』
6月6日(土)恵比寿ガーデンシネマ先行プレミア上映に引き続き、今秋も劇場にて公開予定。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)