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今回の【ドラマの女王】は、伊藤淳史主演の水曜深夜ドラマ『漂流ネットカフェ』(TBS系)。人気お笑い番組『あらびき団』の後にやっていて、裏番組にNHK『探偵Xからの挑戦状』や“正直しんどい”があったりと、話題になってはいるがなかなか見るのに障害が多いこのドラマ。映画『フィッシュストーリー』でも“優しい大人の男”の片鱗を見せてくれた伊藤淳史が、今回も極限状態にて、なぜか「ちょっとモテ」な好青年を演じている。意外に結婚指輪が似合ってたりして。
視聴者のターゲットをネットカフェ利用者の若者層に当てたためか、面白いのに放送時間は深夜。『湯けむりスナイパー』みたいにエロい訳じゃないんだから、もっと早い時間に放送してもいいかも。主題歌もいいし、十分いけるドラマに仕上がっている。主婦や10代前半の「あまりネットカフェに行かない層」の人たちの方が、めずらしさもあいまってかえって興味をもってくれるかもしれない。
出産を控えた妻ゆきえ(浅見れいな)と、言い争いをおこしたまま豪雨で電車が止まり、ネットカフェで一夜を明かす事になったサラリーマンの土岐耕一(伊藤淳史)。初めて足を踏み入れたネカフェのドリンクバーの前で偶然中学の同級生・遠野果穂(KIKI)に合う。しばしの果穂との再開に心温まる耕一だが、その矢先にその場にいた客数名と共にネットカフェごと人気のない山奥に漂流してしまうという、そんなとんでもない事態に遭遇する。
寺沢(長江英和)、里村(津村鷹志)、鍛冶憲介(利重剛)の3オヤジと、耕一、大沢(戸田昌宏)の社会人、アツシ(高木心平)、亀田(吉武怜朗)、松田タカシ(北条隆博)の若い男3人。果穂と、ミク(浦野一美※AKB48)と、今井サチコ(真野裕子)の3人の女性客と一人だけ客じゃないカフェの店員・加藤和美(高橋真唯)。さも深夜のネットカフェにいそうな面々との奇妙な共同生活が始まる。
伊藤淳史(も含めて?)の若い男子が美男ぞろい。『アタシんちの男子』が表向きのイケメンドラマなら、『漂流ネットカフェ』は裏のイケメンドラマかもしれない。同じネットカフェが重要なキーになっているのに白黒ハッキリ分かれている。記者は暗いこっちの方が好きだ。ミステリアスな果穂を演じるKIKIをはじめ、コスプレの和美、色っぽいサチコ、恋人のアツシに“言えないヒミツ”があるミク、女子もみんなかわいい。
人との会話を避けて暗い個室にとじこもり、ジュースやコーヒーが飲み放題、ゲームやマンガが見放題のネットカフェは居心地が良く、都会に生活する現代人にはオアシスのような空間。「ネカフェごと時間も忘れて漂流したらさぞ楽しいだろう。」と思いきやそんな訳は無く、レトルトやお菓子の食料は減っていくし、水も汲みに行かなければならない。また、お互いストレスが爆発しないように、それぞれ残った者同士、相手を思いやらなければならない。都会に暮らす現代人はこれが一番苦手だ。
そこに冷静な判断を下す若者に意外とマッチしているのが耕一の伊藤淳史。果穂と共にみんなをまとめ、「トム・ソーヤの謎」に何かヒントがあるのではと、美少年・亀田と巨大おやじの寺沢とともに森を探りに出かける。
第5話にして、おじさんの一人が怪我して消えたり、何か知っているナゾめいたタカシが果穂に近づいたり、少女が見え隠れしたりと思わせぶりな展開に。ホラーでもサスペンスでも無いんだけれど、孤立した現代人の生活そのものを見ているようで怖い。漠然とした不安がつきまといながらも、意外に居心地が良い「漂流生活」は、どこか寂しげだ。
居心地が良すぎて“抜け出せなくなる”という危険もはらむネットカフェ。ここにずっといては人間同士心を交わしたり、ゲーム以外の何かをやり遂げたりする事は絶対に出来ない。他に誰ひとりいない山奥に漂流して、みんなやっとそれがわかるのだろうか。
【参照】
『漂流ネットカフェ』(TBS系)
(編集部:クリスタルたまき)
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