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【ドラマの女王】“春の番組改編”のリアル。『歌のおにいさん』

2009年3月8日 13:00

今回の【ドラマの女王】は、嵐・大野智主演の連続ドラマ『歌のおにいさん』(テレビ朝日系)。ガルネク千紗以外にも「嵐・大野のソロCD発売」、「黒柳徹子投入」などの小ワザを利かせ、何とか視聴率2ケタ台に乗っているこのドラマ。そんなにいろいろやらないでも十分見ごたえはあった。陳腐な内容に見えて実は「仕事」、「友情」、「夢」などのテーマが意外としっかり描けている『歌のおにいさん』。TV業界内の“泣ける事情”まで教えてくれる。




“ミュージカル俳優志望”の守の関ジャニ丸山隆平、“変な歌姫うらら”の片瀬那奈、“やせすぎ”の女性プロデューサー真鍋の木村佳乃や、ホリプロ高良光莉、“男姿”のマエケンなどにぎやかな「みなうた組」と、矢野健太(大野智)の実家の工場を営む父(小野武彦)、明るい姉さくら(須藤理彩)、そのさくらに恋する金児憲史演じる工場の職人克己などの「家族組」、吹超満演じる怪しい音楽プロデューサーの安斉が画策する一方的な要求に反抗し、汚い芸能界の荒波に呑まれまいとするガルネク千紗(ちさ)演じる明音と仲間二人の「ジゼル組」。
キチンと分けられた主人公の「歌のおにいさん」矢野健太を取り巻く環境を丁寧に描く。その三方向が如実に絡んで、とうとう次週で最終回を迎える。

じわじわと面白くなってきた。さすが、 “年長”の大野クンの演技は安定している。

少子化により、「子ども向け番組を作っても視聴率が上がらない。」という現実と、「今の子どもはかわいそうだ」という健太のなにげない一言、子どもたちが喜んでくれる番組「みたうた」をつくりたいという真鍋の気持ち。「子ども向け番組」ひとつとっても様々なTV事情や人々の思いが込められている。それがよく分かる。

特に、“主婦人気”で支えられていた前の「歌のおにいさん」氷室洋一(戸次重幸)と交代に、“子どもの視線を引付ける健太”の「歌のおにいさん」を起用したら番組ファンが本来の子どもたちだけに戻ってしまい、気がついたら視聴率が下がってスポンサーが降りてしまったという筋書きが、実際ありそうで泣ける。気がついたら「スタート時とぜんぜん違う番組に・・・」ってTV番組は結構多い。

「3月いっぱいで「みなうた」が打ち切りになってしまうかもしれない!」それを知って右往左往する「みなうた」の出演者とスタッフたち。こんな光景が、六本木のテレ朝のあちこちで繰り広げられているのかなんとなくリアルだ。

でも、やっぱり「みなうた」が大好きなみんな。健太以外の出演者は“顔がプンプンしたり、ニコニコしたりする大きな木の下”に集まってくる。

「今のジゼルじゃ歌えない曲」のデモCDを健太に託し姿を消した明音。彼女が消えた訳を安斉に詰め寄る健太は、金を出してもらうために偶然居合わせた真鍋の前でひともんちゃくおこしてしまう。「みなうた」の運命は?最終回に持ち越された。

子どもだった健太が「歌のおにいさん」になった事で、時に理不尽な世の中へ疑問をぶつけて大人へと成長し、型破りな荒療治で人々の気持ちを掴んでいくストーリー。大野の荒削りな演技がうまくマッチした。

人気グループ嵐の大野クンが主演で、暴力もお色気シーンも無く、わりと心温まるお話で、おまけに可愛いセットや子役もいっぱい出てくるのに、深夜番組。この矛盾が、「歌のおにいさん」をつくる側の“今のTV事情”を表わしている。
同局ドラマの9時台『必殺仕事人2009』を見ている老人たちは深夜は寝ていても、内容がやわらかく色鮮やかなドラマに惹かれる若者や大野クン好きOLは起きている、そして塾やその他の理由で遅くまで起きている最近の子どもたちと、「只野仁が見れないお父さん」。これらの人たちが『歌のおにいさん』を見ていて、このドラは深夜なのに視聴率はけっこういい。

テレビ朝日“春の番組改編”において、「金曜深夜ドラマ枠」のスタッフたちはひとまず安心。といったところか。

(編集部:クリスタルたまき)
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