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今回の【ドラマの女王】はいよいよ終盤を迎える、松山ケンイチ主演『銭ゲバ』。もはや松山ケンイチのイメージが風太郎に固まってしまい、ドコモのCMで普通の大学生などに化けられても何かありそうで怖い今日このごろ。登場人物もだいぶ死んでしまって、苦悩と退廃しかない風太郎。罪を悔い改め“良心”は取戻せるのか?あと一回でどう収拾をつけるのか。「なぜかあんまり心に響かない」ドラマの真相をつく。
「お前なんか、いてもいなくてもどっちでもいい。」と、自らが言い放った茜(木南晴夏)が首をつって自殺し、表面上はワルを繕っても“母以外に自分を愛してくれた妻”・茜の死がボディーブローのようにじわじわ効いてきている風太郎。さらに追い討ちをかけるように、(風太郎が殺害した)弟は、風太郎を引き取ろうとしていた事実を、妻の治療費と引き換えに刑事を辞めた荻野(宮川大輔)の口から聞かされる。風太郎とそっくりの兄の借金2千万円を自分の処女で買ってくれという「伊豆屋」の娘由香(石橋杏奈)が現れて心を乱され、翌日ひやかしで訪れた「伊豆屋」で金の為に狂ってしまった由香の家族に包丁を突きつけられる風太郎。と、今週もヘビーな『銭ゲバ』。
いつのまにか、お嬢様キャラから女王様キャラに変身していた緑(ミムラ)。演技は上手いが冷たすぎて憎い風太郎に惹かれているのかよく分からない。常に神経が高ぶっている“引きつり顔”が、『ありふれた奇跡』の加奈同様、ドSフェロモン満載。その手の女性が好きな男性にはたまらないであろう。
せっかく10億円あげたのに、「死なず」に金を返しにくる父健蔵(椎名桔平)。(茜が風太郎を思ってくれたように)ダメな父をかばい、善意を信じていた母の思い出を風太郎が告げると、「いい女だねぇ桃子さん(風太郎の母)は・・・。」と、しみじみ。
さすが、主演の松山ケンイチより『銭ゲバ』に出て得した男。相変わらずいい味を出している。
昭和40年代ならいざ知らず、今や「斜陽」の造船業にあの金の出し方は無いでしょ。とつっこみたくなるような現ナマ。「あんなの来たら警察呼べよ。」といいたくなるような「伊豆屋に死亡保険を入ることを進めにくる」レトロな取立てやくざ。風太郎のポイントのズレた金への執着心や中途半端な方言・ズラの出し方。松山、ミムラのシニカルでうっとおしい演技とどれもこれも大失敗な『銭ゲバ』。とうとう次週で最終回を迎えるが、やはり期待した程の満足感が無い。
暗くて回想シーンばかりのテンポの悪い演出も、『ちゅらさん』 岡田惠和の“見せ場のない”脚本も、主人公(マツケン)を生かしきれなかった。脇の役者が上手かったただけに少々残念だ。
しかし、なにがダメだったかと言うと、世間で言う金持ちのホリエモンや、村上ファンドの村上世彰、小沢事務所秘書や、島田紳助など、今やTVをつければ「金の為なら何でもやる」“本物の銭ゲバ”がたくさんいて、下手をすればTVを見ている視聴者の方が「風太郎以上に金に執着している」かもしれないという事実が読めて無い。
殺人はしなくても「人をだしぬいてでもお金が欲しい」というのは、不景気な昨今、そうめずらしい感性ではなく、『銭ゲバ』をもって新たに「善良であるはずの市民が貧しさにより金に執着する様」を見せられなくともこの時代に生きていればみんな多かれ少なかれ金に執着しているのである。高度成長期だった昭和40年代と違い、今日本は“下り坂”を転げ落ちている。暗いドラマでわざわざ水を差すような真似をしないでも、十分みんな自分の足元を見ているのだ。そして現実はドラマよりも厳しい。
ドラマの視聴率は、回を追うごとに下がってきているのに、かりゆし58の歌うドラマ主題歌「さよなら」(LD&K Records)がじょじょにヒットしているという。同じく日テレ火曜22時枠最低視聴率ドラマ『神の雫』に出てくる高級ワインがネットでバカ売れしている背景に、TVドラマの抗えない時代の流れを感じる。
(編集部:クリスタルたまき)
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