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イギリスで駐車違反の罰金をトイレットペーパーに書いた小切手で払った男がいる。普通なら男の神経を疑うところだが、彼が何らかの意図をもってトイレットペーパーを使ったとすれば、背景にはどんな事情があったのか。
ある日、定年退職したビジネスマンのディック・ローパー(63)が自宅近くの路上にあるパーキングエリアに駐車した。その後、その地区で“ターミネーター”の異名を持つ駐禁の取締員が、ローバーに約四千円の罰金を課した。というのもローパーの車は、フロントは枠線内だったが、リアがわずかにはみ出ており、二つの区域をまたいだ格好になっていたからだ。
重箱の隅をつつくようないやらしい取締り方に腹を立てたローパーは、トイレットペーパー製の小切手を警察に提出した。ところが警察は現金化するための手数料としてさらに約二千円を要求した。ローパーがこれを拒否すると、彼は罰金不払いのかどで法廷に立たされることになった。
彼は裁判の中で声明文を読み上げた。その中で彼は、「警察連中がグルになって“ヘビのように”抜け目なく仕事をした取締官をかばった。」と権威を笠に着たやり方を痛烈に批判した。とりわけ、「自分がした悪行を“消化しながらずるずると這うように”家路を辿る取締官」という下りでは判事をはじめ、関係者一同が吹き出した。
普通なら男の心情が共感されることはあっても、反社会的な態度だとして批判されそうだ。ところがこの裁判を担当したデビッド・クーパーはユニークな判決で知られる名物判事だった。彼は全てを“綺麗にぬぐい去る”ような提案をした。「罰則として法廷の裏に座らされてもいいか」とローパーに言ったのだ。判事はさらに続けた。「この罰則は前科にはならない。この罰で君が喜ぶとは思えないが、社会に対する負債を免責するにはこれで十分だ。」それを聞いて、ローパーはその罰則を受けた。
ローパーは結局70分“拘束”されたあと釈放されたが、その判決についてはプレスにしゃべるなと口止めされたという。ローパーは裁判を振り返って、「判事は物事の本質を見てくれたんだ。私は自分が受けた罰をとうてい罰とは思えない。その判決はまさに良識に対して与えられた勝利だったんだ。」「自分に起きたことが不当であると感じたなら誰にでも“平和的な抗議”をする権利があるはずだ。」などと語った。
最後に判事はローパーに尋ねた。「まだ会社勤めをしていた頃、もし顧客がトイレットペーパーの小切手を寄こしたら、君ならどうした?」ローパーは答えた。「私はそれを受け取ってトイレットペーパーの領収証を渡したでしょう。」
まさに英国版大岡裁き。トイレットペーパーを使う方もずいぶんだが、背景にある事情を察し、男の心情を汲みつつも一応の罰を下して警察の顔も立ててやる粋な判決もお見事。確かに判事はユニークな人物だが、こういう判決が社会的に許容されるのはそこがある意味で精神的に成熟した社会だという証だろう。ちなみに、この判事はその後、自分が襲った警官にチョコの詰め合わせを差し入れて謝罪は済んでいるとして一人の女性を留置所から釈放したり、酔っぱらいのストー カー男を女から遠ざけただけでなく、国中の酒場への出入りを一年間禁止するという判決も出している。ちょっと暴走ぶりが心配だ。
【編集部:こてつ】
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