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南米のチリで一匹の野良犬がヒーローとして祭り上げられている。テレビやネット上の動画投稿サイトによってたちまち数十万の人間にその存在を知られ、一躍“時の犬”となったこの犬は一体どんな活躍をしたのだろうか。
事件が起こったのはチリの首都・サンチャゴ。4日、激しく車の行き交う高速道路上で一匹の野良犬が車にひかれて死んだ。その直後、現場の監視カメラは驚くべき光景を捉えた。もう一匹の犬が猛スピードで走る車の間を縫ってひかれた犬の死体を引っ張り、中央分離帯まで運ぶ姿が克明に記録されていたのだ。この映像がチリのテレビで放映されると、YouTubeなどの動画サイトを通じて世界中に広まり、8日までに数十万人もの人々がこの名も無き犬の勇敢な行動に喝采を送った。高速道路の作業員たちは事故発生後間もなく死体と犬の両方を救出したのだが、犬はどこかへ逃げてしまったという。視聴者からは「是非その犬を引き取りたい」というオファーも寄せられているが、犬は依然行方不明のまま。
とにかく生半可な人間よりよほど勇敢で情に厚い犬であることは間違いない。「犬のくせになんて仲間思いなんだろう」と感心してしまうが、理性で本能をコントロールでき、動物より上等な生き物であるはずの人間が同族に対してどれほど冷淡であるかは、こうしている今も世界中で9億6千万の人間が飢えに苦しんでいる(9日、国連食糧農業機関発表)という現実を見ればよくわかる。
一方オーストリアでは8日、ウィーン大の動物心理学者らが、「犬も不当な状況を察知したり、嫉妬に似た感情を表すことができる」との研究結果を発表した。他の犬とくらべて不公平な扱いを受けると、犬も不機嫌になったりお手を拒否して反抗することが実験で確認された。また、自分だけが褒美をもらえない場合には体をひっかいてストレスを感じている様子も観察されたという。実験を主導した学者によれば、これらの研究成果は「普通人が動物に対して考えているよりもずっと繊細な感情を彼らが持っていることの証拠」だという。
犬を飼っている立場からすれば日常の風景で実に退屈な実験だ。動物にも人にも色々いるのはもちろんだが、チリの事件は動物が時として人よりよほど高潔で情感豊かな生き物だということを実験以上に雄弁に物語る出来事だ。
(編集部:こてつ)
【参照記事】
・ロイター
【過去記事】
・「このマンガがすごい!2009」ランク外。でも必読の漫画アリ。
・米国発。“紙製の強盗”相手に特殊部隊が出動。
・6億3千万円を相続した高校生の悩み。
・中国発。パンダにフラれて大ケガを負った男。
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