twitterバナー

好評連載陣

ヘッドラインニュース

映画『私は貝になりたい』は未だ繰返される。イラク捕虜虐待事件にみる戦争の膿(うみ)

2008年11月19日 10:45

先日、映画『私は貝になりたい』の宣伝に忙しいスマスマの裏番組で、映画の本当のテーマを鋭く突いたドキュメンタリーが放送されていた。映画で戦争の悲惨さに触れることも大切なことだが、民放ではなかなか報道されないこのような番組はもっと多くの人が見るべきだ。現代に続く真の戦争の膿(うみ)から目を背けてはいけない。




17日(月) 午後10時から放送された、総合テレビNHKスペシャル「微笑みと虐待~証言アブグレイブ刑務所虐待事件~」。

2003年にイラクのアブグレイブ刑務所虐待事件の犯人として禁固刑に服している25歳の元女性兵士、事件を告発したことで「祖国アメリカに背を向けた」と社会的に制裁された元兵士、当時の刑務所全体の管理をまかされていた女性エリート兵士の三人のインタビューから、全世界に衝撃を与えた事件の「真相」を暴いていく。

アメリカ人兵士たちが笑顔でイラク人収容者を虐待している様子を写した写真が事件の真相そのものなのだが、事件発覚後に行われた軍法会議で虐待・拷問は兵士たちの「自由意志」で行われていたとされ、写真が証拠となり7人が有罪となった。

しかし、不思議な事に虐待を命令したとされる軍上層部は罪に問われず、捕虜虐待の事実よりも証拠写真が出回った事に怒りを表すブッシュ大統領の様子や、アメリカ軍が行う「拷問の新しい理念」が世界中にバレてしまった事を悔やんでいるラムズフェルド国防長官の言葉などが証言される。

「大学の学費を稼ぐのが入隊の理由だった」という当時20歳の禁固中の兵士は、「現地では虐待が日常でイラク人の事など、なんとも思わなかった。」と証言している。老け込んだ彼女もまた戦争の被害者だ。

ゆがんだアメリカ社会に怒りを覚えたが、そこで気づいた事がある。事件で逮捕された兵士たちの無念は、『私は貝になりたい』のモデルとなった加藤哲太郎の無念に通じるものがある。

評論家の加藤一夫の息子として生まれた加藤哲太郎は、戦時中、中国に出兵し、帰国後は新潟の東京捕虜収容所で勤務していた。敗戦後、加藤は俘虜虐待と殺害の容疑でBC級戦犯に問われ、スガモプリズンに拘禁された。

加藤鉄太郎が経験した、容疑不明なスパイ中国人の処刑や、脱走した捕虜の処刑。「天皇陛下の命令である」という一方的な解釈で正義を捻じ曲げた戦時中の軍の命令により、加藤のような殺人に関った兵士は多い。さらに命令により手を下した兵士に責任を押し付ける国の卑怯さ。正にアブグレイブ刑務所虐待事件の構図と全く同じではないか。

第二次世界大戦終結後、60年以上経ったアメリカで、「私は貝になりたい」はくりかえされている。

「自分の国を守るため」、「卑劣な敵国を打ち負かすため」、手段を選ばない軍の方針を決めているのは誰か、命令により実際手を下した下級兵士を処罰する事で、この問題はもみ消されてしまうのか。

NHKスペシャルを見なかった人も、中居正広主演の映画に関心のない人も、ぜひ貝にならずに考えてほしい。

(編集部:空野ひこうき)

”ママさん宇宙飛行士”出現にみる働く母親たちの厳しい現実。
「秋葉原無差別テロ事件「敵」は誰だったのか?アキバ事件の真相に迫る、超左翼マガジン『ロスジェネ』別冊2008」
貧困から子どもを救えるか?島田紳助 『カンボジア学校建設プロジェクト』
“街ゆく人々を魅了する歌声”は突然のプレゼント。清水翔太、19歳

-ITからセレブ、オタク、事件・事故まで。スルーできないニュース満載-
TechinsightJapan(テックインサイトジャパン)はコチラから!

PR

PR

PR

PR