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イギリスのウェールズ地方でドライバーを惑わせるなんとも”危険”な交通標識が出現した。その文面は「今オフィスを離れています。翻訳する内容を送って下さい」というもの。確かに車に乗っているわけだから「オフィスは離れている」だろう。しかし、運転中の携帯電話での通話はもちろん、メールを送信することなどは言うまでもなく危険極まりない行為だ。ではなぜこのような非常識な標識が設置されたのか?そこには英国のお国事情があるようだ。
ウェールズは、イングランド、スコットランド、北アイルランドとともに、イギリスを構成する国のひとつだ。人口比率でいうと、イギリスを構成する国の中では第三位となっている。
我々多くの日本人は「イギリスはイギリス」とひとくくりで捉えがちだが、実際には構成国それぞれの文化や歴史があり、とくにウェールズではケルト文化の特色が色濃く、ウェールズ語という独自の言語を持つ。今回の”とんだ標識”はこの言語の違いが発端だった。
問題の標識には、「大型貨物車両の進入禁止」とまずは英語で書いてある。その下にウェールズ語で「今オフィスを離れています。翻訳する内容を送って下さい」という”指示”が書かれていたのだ。
事の顛末はこうだ。
郡の職員からウェールズ語訳を依頼された翻訳業者が休暇中のメール設定を間違え、自動返信されたメールが看板業者に届きそれがそのまま正式な交通標識となってしまったというわけだ。
実際に標識が立てられるまで誰一人としてこの間違いに気づかなかった背景には、その地域でウェールズ語が公用語の一つであるにもかかわらず、ウェールズ語人口が極端に少ないという事情がある。
イギリス連邦王国という国を構成する一国とはいえ、英語とウェールズ語は表記も発音もまったく異なる言語だ。英語でウェールズは”Welsh”というが、本家ウェールズでは”Cymru”と表記する。ウェールズでは英語と並んでウェールズ語が公用語であるが、過去にはウェールズ語教育を禁止された時代もあった。
現在、ウェールズ語を話すことのできるウェールズ人は2割程度だという。ウェールズでは、公の文書や交通標識などは英語とウェールズ語の両方が表記されているが、ウェールズ語を話すことができる人の少なさが今回のような”危険極まりない”交通標識の出現を許してしまったのだろう。
いまや貴重な言語となりつつあるウェールズ語。人口の増加により、ウェールズ語を話せる人の数も少しずつだが増え始めているという。先祖から受け継がれた言語を未来を担う子どもたちにもぜひ継承していってもらいたい。
(編集部:こてつ)
【参考記事】
・Guardian
【過去記事】
・救世主?それとも兵器?現実となったロボットスーツ。
・米国発。「煙草は砂漠で・・」禁煙市条例、続々発効。
・米国発。相手が悪かった「オヤジ狩り」の少年返り討ちに。
・子連れでドライブ・バイ・シューティング!?
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