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「U字工事」をご存知だろうか。今年結成10年目を迎えた、アミーパーク所属の実力派漫才コンビだ。と言ってもピンとこない人が多いかもしれない。しかし一度でもネタを見たことがあるのなら、絶対に覚えているはず。強烈な栃木弁でしゃべくり漫才を繰り広げる、あのコンビだ。
ツッコミの福田薫、ボケの益子卓郎ともに栃木県出身のU字工事。M-1グランプリでは5年連続で準決勝に進出するなど実力はあるものの、キャラ芸人が優勢だった去年までの注目度はけっして高いとはいえなかった。テレビで見かけるのは主に「爆笑オンエアバトル」(NHK)や「笑点」(日本テレビ系)など、現在のお笑いブームの主流とはいえない番組ばかり。それが今年に入り「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)に出演するようになると、各局のネタ見せ番組に顔を出し始める。お笑い界全体が脱・キャラ芸に動いている今、U字工事もその順風を受けているのだ。
U字工事の漫才は、栃木をはじめ北関東を扱ったネタが中心。埼玉に住むことが夢物語だったり、ライバルは群馬と見せかけて神奈川だったり、栃木という土地全体の自虐ネタが栃木弁で展開される。ネタ自体は非常におもしろいのだが、栃木弁は耳慣れない人にとっては聞きづらいという点は否定できない。しかし彼らはそれをきちんと考慮に入れて、訛りを生かしたまま聞き取りやすいように話すことを心がけているそうだ。事実、先日出演していた笑点では観客の年齢層も気にしてか、いつもよりもゆっくり、落ち着いたトーンで話していたように感じた。
U字工事の栃木弁漫才を聞いていると、ふと考えてしまうことがある。初めて上方漫才を見た関西圏以外の人々はこういう気持ちだったのだろうか、と。
聞きなれない言葉というものは、普通の人が普通に話しているだけでも少しおもしろい。タモリの“四ヶ国語麻雀”やTKO木下の“阪神ファンの外国人”は鉄板だし、フジテレビ系で放送していた「コンバットⅡ」の“青森の嫁”シリーズもおもしろかった。今でこそ普通に耳にする関西弁も、テレビやラジオが普及するまでは非常に珍しく、おもしろく聞こえただろう。おもしろい言葉で繰り広げられるおもしろい漫才、これがおもしろくないわけはないのだ。
U字工事の栃木弁漫才が上方漫才のようにスタンダードになることは難しいかもしれないが、博多華丸・大吉(吉本興業)の博多弁漫才などとのくくりで、“方言漫才”という新ジャンルを確立することはできないだろうか。それが大阪、東京に続く第三勢力として台頭してきたらおもしろい。新しい言語文化の誕生だ。
仮にそうなれば、私たち一般人も方言を隠さずに暮らす日が来るだろう。関西弁を隠す関西人はあまりいないからだ。するとどうなる? 日本人すべてが故郷の言葉を堂々と話すようになれば、それだけで地方が元気になるに違いない。政治家先生たちが頭を抱えている地域格差がU字工事の漫才によって解消される日が来る、かもしれない。
我ながらあまりにも大きな風呂敷を広げてしまった。ごめんねごめんねー、ということで。
(編集部 三浦ヨーコ)
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