writer : techinsight

3分でわかる「ヴァンパイア騎士」

 27日、人気少女漫画を原作としたアニメ「ヴァンパイア騎士」のDVD第2弾が発売された。この作品をタイトルと絵柄のみで勝手にラブコメだと考えている人はいないだろうか。実は私もそうだった。美少年わんさかの表紙はハーレム物またはBL要素ありに違いないと。ところが、なかなかどうして、奥の深いストーリーだ。


 全寮制の名門校、黒主学園普通科に通う「黒主優姫」。優姫は「錐生零」と共に風紀委員をとしてエリート&美形集団である夜間部を、群がる普通科の生徒たちから守っている。というのは表面上のことで、実際は全員が吸血鬼という夜間部の秘密を普通科の生徒に知られないよう動いている“守護係”だ。

 優姫は5歳の頃、吸血鬼に襲われた。そしてやはり吸血鬼であり、夜間部の寮長を務める「玖蘭枢」に救われたのだ。それ以来、優姫は枢に恋愛感情に近い思いを抱いている。一方、吸血鬼ハンターの一族に生まれた零は家族を吸血鬼に殺され、吸血鬼すべてを憎んできた。形は違えど吸血鬼に関わってきた二人は反発し合っているように見えるが、心の奥底では互いを認め合い、支え合っている。

 過去に“純血”の吸血鬼に血を吸われた零は、自らの身も心も吸血鬼に近づいていることを自覚していた。そのことは優姫を初め周囲の人間に隠していたのだが、ある日衝動を抑えきれずに優姫の血を吸ってしまう。危ういバランスで保たれていた日常の崩壊。優姫、零、枢を取り巻く世界が大きく動き出す。

 コミックスは現在7巻まで発売されているが、謎が謎を呼ぶ怒涛の展開の真っ最中。学園に吸血鬼がいるという設定だけで毛嫌いするのはもったいない。

 圧巻は“血”のシーン。この作品では血を吸う、舐める、飲むなどのシーンが非常に甘美に描かれている。それらのシーンに限っては本来の画力を大きく超えていて、例えようもなく甘く、暗い。白黒で印刷されたコミックスでも血の赤が鮮やかに感じられるほどだ。特に7巻・第三十夜、枢が零に自らの血を提供するシーンは衝撃的。そこにBLややおいといったチャラついた要素はまったく感じられなかった。

 ストーリーは全体的に重い。方向性は違うがどの登場人物も強い想いを秘めていて、その狭間に追いやられた読者はページをめくるのが辛くなってしまうことすらあるだろう。だからこそ、コミックスの合間合間にちりばめられたコメディ漫画の存在がありがたい。作者である樋野まつり本人がどうしても書きたいと譲らない気持ちがよくわかる。

 10月にはコミックス最新刊である8巻とノベライズ作品第2弾が発売予定。同時に、アニメの2ndシーズン放送開始が予定されている。今からでも遅くはない、どっぷりとヴァンパイア騎士の世界に浸ってみてはいかがだろうか。

(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)